自作OSに挑戦する日記 4日目
「30日でできる!OS自作入門」を読んで分かったことや、とりあえず書いておきたいことなどを書いていきます。
この本はChapterが1から30まであるので、各チャプター毎に1記事書いていきます。
Chapter 4 「C言語と画面表示の練習」
今回やった内容
- VRAM書き込み
- 画面表示の練習
今回の内容は比較的早く進めることができました(3日目が大変すぎた…)。
環境
- メインPC
- MacBook Pro (13-inch, 2017, Four Thunderbolt 3 Ports)
- macOS Mojave 10.14
- 自作OSを動作させるPC
- Core 2 Duo
- 4GB RAM
- (ハードオフのジャンクコーナにいた子)
作業記録
3日目でC言語が使えるようになり、自由度がかなり広くなりました。という事で画面表示をやっていきます。
画面表示をするためにはVRAMをいじれるようになる必要があるので、メモリにデータを書き込めるような関数を作成します。まずは、アセンブリで書きます。
// nasmfunc.asm ; nasmfunc [BITS 32] ; 32ビットモード用に機械語を生成する ; オブジェクトファイルのための情報 GLOBAL io_hlt, write_mem8 [SECTION .text] io_hlt: ; void io_hlt(void) HLT RET write_mem8: ; void write_mem8(int addr, int data) MOV ECX, [ESP+4] MOV AL, [ESP+8] MOV [ECX], AL RET
関数の引数はESPレジスタのアドレスを元にして取得することができます。i番目の引数を取得するためにはアドレスをESP + (i+1)*4
と指定すれば良いみたいです。
このwrite_mem8関数をCから呼び出す事で、メモリに好きなデータを書き込むことができます。これを使って画面を真っ白にするコードを書きます。現在の画面モードVRAMの範囲が0xa0000
〜0xaffff
となっているので、その範囲のメモリの値を全て15
(白)で埋めていきます。
// bootpack.c void io_hlt(void); void write_mem8(int addr, int data); void HariMain(){ for(int i = 0xa0000; i <= 0xaffff; i++){ write_mem8(i, 15); } while(1){ io_hlt(); } }
書いたコードをコンパイルして実行すると…
白い! pic.twitter.com/ZO6pP5XtjC
— ゆん (@yn0014) 2019年1月19日
ちゃんと画面が真っ白になってくれました〜!今までずっと黒画面でやってきたので感動します。
メモリに書き込む値を変えるとこんな感じにもできます。
しましま🦓 pic.twitter.com/oZ07uLlyrN
— ゆん (@yn0014) 2019年1月19日
アセンブリで関数を使ってメモリに書き込んでいましたが、C言語にはポインタがあるので、ポインタを使ったコードに直していきます。本のポインタの説明がかなり分かりやすく書かれてい他ので、ポインタの復習としてしっかり読みました。
1バイトずつメモリへ書き込むので、char型ポインタを使います。先ほどと同じように、VRAMの先頭のアドレスである0xa0000
を初期値、終端である0xaffff
を終了条件としてforでぐるぐる回します。
// bootpack.c void io_hlt(void); void write_mem8(int addr, int data); void HariMain(){ char *p; for(int i = 0xa0000; i <= 0xaffff; i++){ p = (char *) i; *p = 15; } while(1){ io_hlt(); } }
これを実行するとまた同じように画面が真っ白になります。アセンブリの関数を呼び出さなくてもポインタを使うことでメモリに書き込めるようになりました。
現在の画面モードは320x200で8ビットカラーモードです。8ビットカラーモードでは0 ~ 255の範囲で、プログラマが自由に色を設定することができます。このような仕組みをパレットというらしいです。色は#000000 ~ #FFFFFFの範囲で指定することができます。
本によると、OS(っぽい)画面を描くためには16色が使えれば良いとのことなので、これをパレットに登録するコードを書きます。
// bootpack.c // nasmfuncにある関数 void io_hlt(void); void io_cli(void); void io_out8(int port, int data); int io_load_eflags(void); void io_store_eflags(int flag); // 関数のプロトタイプ宣言 void init_palette(void); void set_palette(int start, int end, unsigned char *rgb); void boxfill8(unsigned char *vram, int x_size, unsigned char color, int x0, int y0, int x1, int y1); 〜略〜 void init_palette(void){ // staticをつける事でDB命令相当となる static unsigned char table_rgb[16 * 3] = { 0x00, 0x00, 0x00, // 0: 黒 0xff, 0x00, 0x00, // 1: 明るい赤 0x00, 0xff, 0x00, // 2: 明るい緑 0xff, 0xff, 0x00, // 3: 明るい黄色 0x00, 0x00, 0xff, // 4: 明るい青 0xff, 0x00, 0xff, // 5: 明るい紫 0x00, 0xff, 0xff, // 6: 明るい水色 0xff, 0xff, 0xff, // 7: 白 0xc6, 0xc6, 0xc6, // 8: 明るい灰色 0x84, 0x00, 0x00, // 9: 暗い赤 0x00, 0x84, 0x00, // 10: 暗い緑 0x84, 0x84, 0x00, // 11: 暗い黄色 0x00, 0x00, 0x84, // 12: 暗い青 0x84, 0x00, 0x84, // 13: 暗い紫 0x00, 0x84, 0x84, // 14: 暗い水色 0x84, 0x84, 0x84 // 15: 暗い灰色 }; set_palette(0, 15, table_rgb); return; } void set_palette(int start, int end, unsigned char *rgb){ int eflags = io_load_eflags(); // 割り込みフラグの状態を記録する io_cli(); // 許可フラグを0にして割り込み禁止にする // パレットに情報を書き込んでいる io_out8(0x03c8, start); for(int i = 0; i <= end; i++){ io_out8(0x03c9, rgb[0] / 4); io_out8(0x03c9, rgb[1] / 4); io_out8(0x03c9, rgb[2] / 4); rgb += 3; } io_store_eflags(eflags); // 割り込みフラグを元に戻す return; }
パレットに情報を書き込む際にはIN命令とOUT命令を使います。これはCPUから各種装置へ電気信号を送信するための命令だそうです。つまりこれが使えるようにならないと装置の制御ができない…というわけですね。割り込みという単語が出てきましたが、まだ今の段階では難しいらしくもう少し進めていけば解説があるそうです(それまでおあずけ)。
IN命令とOUT命令を行うようなものがC言語にはないので、アセンブリ側で実装します。命令文としてはMOVと同じような感じだったので、楽に理解することができました。
少し引っかかったのが割り込みフラグを管理するEFLAGSについてでした。1回スタックを経由して更新するという処理を行うのですが、いまいちイメージが湧かず理解するまで少し時間がかかりました。
下のコードが、IN命令・OUT命令・EFLAG管理用の関数を書いたものです。
; nasmfunc [BITS 32] ; 32ビットモード用に機械語を生成する ; オブジェクトファイルのための情報 GLOBAL io_hlt, io_cli, io_sti, io_stihlt GLOBAL io_in8, io_in16, io_in32, io_out8, io_out16, io_out32 GLOBAL io_load_eflags, io_store_eflags [SECTION .text] io_hlt: ; void io_hlt(void) HLT RET io_cli: ; void io_cli(void) CLI RET io_sti: ; void io_str(void) STI RET io_stihlt: ; void io_stihlt(void) STI HLT RET io_in8: ; int io_in8(int port) MOV EDX, [ESP+4] MOV EAX, 0 IN AL, DX RET io_in16: ; int io_in16(int port) MOV EDX, [ESP+4] MOV EAX, 0 IN AX, DX RET io_in32: ; int io_in32(int port) MOV EDX, [ESP+4] IN EAX, DX RET io_out8: ; void io_out8(int port, int data) MOV EDX, [ESP+4] MOV AL, [ESP+8] OUT DX, AL RET io_out16: ; void io_out16(int port, int data) MOV EDX, [ESP+4] MOV EAX, [ESP+8] OUT DX, AX RET io_out32: ; void io_out32(int port, int data) MOV EDX, [ESP+4] MOV EAX, [ESP+8] OUT DX, EAX io_load_eflags: ; int io_load_eflags(void) PUSHFD POP EAX RET io_store_eflags: ; int io_store_eflags(int eflags) MOV EAX, [ESP+4] PUSH EAX POPFD RET
これで、パレットの設定が終わりです。これからここで登録した16色を使って画面を作っていきます!
メモリの値を自由に書き込めるようになったので、図形の描画に挑戦します。特定の座標のメモリアドレスは 0xa0000 + x + y * 320
で求めることができます。画面サイズが320x200ということと、VRAMの先頭アドレスが0xa0000
ということからから求めることができます。
ということで、四角形を描画するような関数を新しく作り、本に書かれている通りに四角形を描画するようにします。
// bootpack.c (一部) #define COL8_000000 0 #define COL8_FF0000 1 #define COL8_00FF00 2 #define COL8_FFFF00 3 #define COL8_0000FF 4 #define COL8_FF00FF 5 #define COL8_00FFFF 6 #define COL8_FFFFFF 7 #define COL8_C6C6C6 8 #define COL8_840000 9 #define COL8_008400 10 #define COL8_848400 11 #define COL8_000084 12 #define COL8_840084 13 #define COL8_008484 14 #define COL8_848484 15 〜略〜 void HariMain(void){ init_palette(); char *vram = (char *) 0xa0000; int width = 320, height = 200; // 背景 + タスクバーの後ろ boxfill8(vram, width, COL8_008484, 0, 0, width-1, height-29); boxfill8(vram, width, COL8_C6C6C6, 0, height-28, width-1, height-28); boxfill8(vram, width, COL8_FFFFFF, 0, height-27, width-1, height-27); boxfill8(vram, width, COL8_C6C6C6, 0, height-26, width-1, height-1); // 左下のボタン boxfill8(vram, width, COL8_FFFFFF, 3, height-24, 59, height-24); boxfill8(vram, width, COL8_FFFFFF, 2, height-24, 2, height-4); boxfill8(vram, width, COL8_848484, 3, height-4, 59, height-4); boxfill8(vram, width, COL8_848484, 59, height-23, 59, height-5); boxfill8(vram, width, COL8_000000, 2, height-3, 59, height-3); boxfill8(vram, width, COL8_000000, 60, height-24, 60, height-3); // 右下のボタン boxfill8(vram, width, COL8_848484, width-47, height-24, width-4, height-24); boxfill8(vram, width, COL8_848484, width-47, height-23, width-47, height-4); boxfill8(vram, width, COL8_FFFFFF, width-47, height-3, width-4, height-3); boxfill8(vram, width, COL8_FFFFFF, width-3, height-24, width-3, height-3); while(1){ io_hlt(); } } void boxfill8(unsigned char *vram, int x_size, unsigned char color, int x0, int y0, int x1, int y1){ for(int y = y0; y <= y1; y++){ for(int x = x0; x <= x1; x++){ vram[y * x_size + x] = color; // 対応座標のvramの番地を求めて色を書き込んでいる } } return; } 〜略〜
これを実行すると…
OSっぽい! pic.twitter.com/zRxjGVvOWD
— ゆん (@yn0014) 2019年1月19日
見た目がなんとなくOSっぽくなりました!!四角形だけしか描画していないのですが、配色の影響もあってかかなりOSっぽくなっています。
まとめ
4日目の内容だけでかなり進むことができました。今まで黒い画面だけでやっていたので色がつくとかなり楽しくなります!
余談なのですが、僕はアセンブリとCが協力してOSを作り上げている今の感じがとても好きです。ただ、アセンブリについてはまだ基本中の基本しか知らないのでちょっとずつ学習を進めていきたいと思っています。
明日は5日目「構造体と文字表示とGTD/IDT初期化」です。明日も頑張っていきます。