令和4年度 筑波大学 情報科学類/情報メディア創成学類(併願) 編入試験受験体験記

2021/7/10に実施された筑波大学編入学試験を受験し,情報メディア創成学類に合格することができました.
受験勉強中には数多くの体験談に助けられたところがあり,また体験記を書くことがちょっとした夢でもあったのでしっかり書きたいと思います.

※本体験記は 2021/7/24時点 の情報に基づいて書かれています.

目次

  1. スペック
  2. 勉強内容
    1. 数学
    2. 英語
    3. 専門科目
  3. 受験前日
  4. 受験当日
  5. 結果発表
  6. 最後に

1. スペック

所属学校・学科

  • 学習到達度試験の出来は下から数えたほうが早いレベルの高専
  • 情報系学科

卒業生の8割強が就職,進学する人も専攻科または技科大という感じです.
こういう高専だと過去問はもちろん,進路担当の先生も編入試験に関する情報をほとんど持っていません.(実際そうだった)

僕は4年の前半に編入試験に関する情報をかき集めて分類するなどしました.
また,学校から十分サポートを得られるようにクラス担任と進路担当の先生に集めた情報をプレゼンしたりしました.
学校内に編入試験に理解を示してくれる先生がいると心強いです.

席次

1年: 15位
2年: 3位
3年: 1位
4年: 1位
5年: 4位(前記中間時点)
※1クラスの人数は大体40人

高専全体で見ると中間くらいのレベルではないかと思います.(数字だけ見ると良さそうですがそもそものレベルが低めなので)
学力での受験では席次はほぼ考慮されないと思いますが,クラス内で上位1割を維持しておくと推薦での受験も視野に入るため万が一の場合に備えることが出来ます.
最初から学力一本の場合は別ですが,とりあえず定期試験では良い点数を取り続けておいて損はないと思います.

TOEIC

780(L: 410, R: 370) → 815(L: 420, R: 395) → 810(L: 430, R: 380)

全部でTOEICは3回受験しました.
編入試験で十分戦えるだけの点数は取れたと思います.

2. 勉強内容

2.1. 数学

2.1.1. 使用した参考書など

2.1.1.1. 編入数学徹底研究

難易度: ★★☆☆☆
おすすめ度: ★★★★★

どの体験記にも出てくる人気の参考書です.
この一冊に編入数学の基礎が詰まっているといっても過言ではないと思います.

自分は勉強始めにとりあえず1周し,その後は復習したくなったタイミングで適当に開いて問題を解いたりしました.

2.1.1.2. 極めるシリーズ 大学・高専生のための微分積分Ⅰ/Ⅱ

難易度: ★★★☆☆
おすすめ度: ★★★★★

高専の先生が書かれた微分積分に関する参考書です.
全体的な難易度は徹底研究よりは少し高めです.
この本は他の参考書に比べて解答が細かく書かれており「どうしてそうなった」的なことになることはほとんどありませんでした.
また,公式集が充実していること,問題数の多さから辞書として使うのにも適していると思います.

Ⅰ/Ⅱともに1周ずつ解いて,その後は公式集として使ったりしました.

2.1.1.3. ベクトル・行列・行列式 徹底演習

難易度: ★★☆☆☆
おすすめ度: ★★★☆☆

大学編入を目指す高専生向けに書かれた参考書です.
ベクトルとは何かという所から行列の対角化まで丁寧に書かれています.
最後に少しだけベクトル空間について触れています.
とにかく行列に関する問題の基礎をつけることが出来るといった感じなので,徹底研究で理解できればやる必要はないと思います.

1周だけ解いて,その後はほとんど開きませんでした.

2.1.1.4. 新装版 線形代数

難易度: ★★★★☆
おすすめ度: ★★☆☆☆

線形代数について300ページぎっしりと書かれている参考書です.
理論から押さえたい場合はとても良い本だと思います.
編入試験では手を動かして解くタイプの問題が多いのであまり合わないと感じました.

証明問題でわからない問題があったときに辞書として使いました.

2.1.1.5. 大学編入試験問題 数学/徹底演習

難易度: ★★★★☆
おすすめ度: ★★★★★

編入試験の過去問が詰まった問題集です.
割と新しめの問題も入っていて,問題数も多めなのでおすすめです.
ただ,解説の誤りが多すぎて頻繁に正誤表を参照することになるのがちょっと辛いです.

この本は4周しました.
1,2週目は何も考えずに全部解いて2週目でも分からなかった問題に付箋を付け,残り2周は付箋がついた問題のみを解くということをしました.

2.1.1.6. 編入数学過去問特訓

難易度: ★★★★★
おすすめ度: ★★★★☆

徹底研究の著者の方が書かれた本で,これも他の体験記で人気の問題集です.
問題が3ランクに分類されており,受験する大学のレベルに合わせて問題を解くことが出来ます.

正直言うと自分はこの本を0.5周くらいしかしなかったのであまり書くことがありません.
ただ,問題の多さと解説の丁寧さからおすすめ度は高めにしています.

2.1.1.7. 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(ヨビノリ)

難易度: -
おすすめ度: ★★★★★

Youtube上に投稿されている動画です.
積分偏微分固有値など,編入勉強に必要な分野はほぼ全て網羅されていると言っても良いと思います.
加えて,解説の詳しさや編集の丁寧さが最高です.

最初にあったように僕が在籍している高専のレベルはかなり低めであるので4年の前期でようやく重積分に触れるといったシラバスになっており,十分に学んでいないまま編入勉強せざるを得ない状況でした.
このときにヨビノリにはとても助けられました.
当時はまだ完結していない連続講義もありましたが,今ではかなり充実しています.
同じ状況にある方がいれば,とにかくおすすめします.

2.1.2. 勉強方法

まずは徹底研究を解き,次に極める微分積分とベクトル徹底演習を,最後は数学/徹底演習をとにかく解きました.
また,間にヨビノリを挟んで基礎を固めていました.

とにかく問題を解くことが大切だと思います.
また,ネット上の情報に惑わされないことも大切です.
1周1週間で終わったとかそういうヤバい人の言うことは適当に流して,自分のペースを崩さず着実に勉強を進めるべきです…

2.2. 英語

2.2.1. 使用した参考書など

2.2.1.1. 大岩のいちばんはじめの英文法

難易度: ★☆☆☆☆
おすすめ度: -

名詞とは何か,SVCとは何かといったレベルから書かれている参考書です.
帯にも書かれているのですが,本当に中学レベルから始まります.
誰にでも分かるように相当噛み砕いて書かれています.
章末問題といったものはほぼ無いに等しいので,とにかく勉強用といった位置づけの本です.

僕は中学英語からすっかり飛んでたのでこの本から始めました.
変にカッコつけて高校の参考書をやるより,プライドなんて捨てて1からやり直すのが一番です.(本当に)
1周もすれば英語の基本的な部分は身につきます.
SVCについて知った時は感動しました.

…中学生からまともに英語を勉強してきた人にはいらないです.

2.2.1.2. TOEIC Part5 でる1000問

難易度: ★★☆☆☆
おすすめ度: ★★★★★

TOEIC向けの問題集です.
Part5の問題がタイトル通り1000問(実際には少し多い),後は解くためのテクニックが書かれています.

TOEICは英語力だけでなく,テクニックも必要になります.
そのためこの本は必須です.
1周もすれば100点くらい上がります.(冗談抜きで)

2.2.1.3. abceed

難易度: -
おすすめ度: ★★★★★

これはスマートフォン向けのアプリケーションです.
月額1000円くらいでTOEICの練習問題を無限に解き続けることが出来ます.
また,練習問題の出来からスコア予測も行ってくれる機能があります.
英語の勉強は自身がどのレベルにいるのか分かりづらいことが多いのですが,スコアという指標によって英語力を客観的に判断することが出来ます.

僕は1日5時間くらいこのアプリを使って勉強をしていました.
リーディングは他の参考書を使用していますが,リスニングに関してはabceedしか使っていません.
とにかく練習問題を解き続ける事ができるのが良いです.
欠点を指摘するとすれば,練習問題を解き続けることしか出来ないといったところでしょうか.
他の勉強アプリにあるような講義動画などは一切ありません.
さらに課金することで参考書をアプリ上で買うことが出来ますが,正直紙で買ったほうが断然良いです.

ちなみに,僕のスコア推移はこんな感じです. (2020/10/29のスクリーンショット,これ以降abceedを起動していません)

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2.2.1.4. TOEIC L&R TEST 出る単特急銀のフレーズ

難易度: ★★☆☆☆
おすすめ度: ★★★☆☆

有名な単語帳です.
過去にTOEICに出た単語のみが収録されているそうです.
淡々と単語が掲載されているだけなので特に書くことはありません.

同じシリーズで,少しレベルが上った金のフレーズがあります.
普通にやる場合には金から始めても十分だとは思います.
(自分は銀だけやりました)

2.2.2. 勉強方法

まず始めにいちばんはじめの英文法,次にでる1000問を1周し,残りはずっとabceedをやっていました.
また,夜寝る前の30分で銀のフレーズをやりました.

個人的な意見ではとにかくabceedをやっとけば問題無いなといった感じです. それととにかく毎日欠かさず続けることが大切だと思います.
英語は1ヶ月程度で伸びないと言われていますが,本当にそうだと感じます.
僕は勉強を始めて2,3ヶ月経ってようやく成長を感じることが出来ました.
受験生の方は諦めずに続けてください…!

2.3. 専門科目

専門科目の勉強はほとんどやっていません.
受験の1週間前に「定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造」を買って読んだくらいです.
とにかくこの定本さえ読んでおけば専門科目は戦えるといった感じです.

3. 受験前日

つくばには前日入りしました.
旅程としては,新幹線で東京駅,東京駅から山手線で秋葉原駅秋葉原駅からつくばエクスプレスをつかってつくば到着といった感じです.

つくばエクスプレスに乗るためにJR秋葉原駅を一回出る必要があったので,ついでに秋葉原探索をしました.
一緒に受験する友人と行動し,電子工作関連のショップを周りました.
店に入ると同年代の人で溢れかえっていて,全員つくば受験者では??などと言い合っていましたが,当日の受験者数をみるとあながち間違いでもないと思います.
正直自分は電子工作に詳しいわけではないので後ろに立ってはえーって感じになっていました,とても楽しかったです.
見てるだけで楽しい,秋葉原最高って感じです.

話を戻して,つくばでの宿泊地はダイワロイネットつくばというホテルに宿泊しました.
このホテルは情報学群の試験場である春日試験場まで徒歩10分,しかもつくば駅からも徒歩2分といった受験生のために存在しているようなホテルです.
また,部屋にはこれで勉強しろと言わんばかりの巨大な机が配備されています.

試験会場に当日の注意事項が掲示されていたので見に行きました.
受験番号別の部屋割が掲示されているのでここで受験者数を確認することが可能です.
多くても受験者数は100人くらいだろうと思っていましたが,今年の総受験者数は150人を超えていました,最悪です.
少なくとも120人くらい落ちると思うと急に緊張感が高まりました.
コロナウイルスの影響で受験者数が跳ね上がっているようです.

掲示を確認して春日エリアをちょっと散歩した後は夕ご飯を食べました.
つくば駅の近くには大きめの建物があり,この中にサイゼリヤなどがあります.
夕ご飯はここで食べました.
コンビニや雑貨店もあるので足りないものがあればここで全部補充できそうな感じでした.

夜は過去問を解いて寝るつもりだったのですが,ここで急に緊張してきてそれどころではありませんでした.
仕方がないのでシャワーを浴びて布団に入ったのですが,動悸が止まらず結局3時くらいまで練れませんでした.
普段良く緊張する人は,最悪の場合に備えて睡眠薬的なものを持っていくと良いかもしれません.

4. 受験当日

受験当日は7時くらいに起きました.
睡眠時間は4時間無いくらいです,最悪の状態です.
ついに今日試験を受けるんだと思うと何も口に入らず,ホテルの朝食もなんとか少し詰め込んだといった感じでした.
ホテルから受験会場までは一本道なので迷いようがありませんでしたが,気を抜いたら迷うんじゃないかってレベルで緊張していました.
友人と来ていたので雑談を挟んでなんとか正気を保ちつつ会場入りに成功しました.

会場内では携帯電話などの電子機器の使用は禁止のようです.
ネット上のページを参考にして直前に勉強しようと思っている場合は,コンビニで印刷などしておかないといけません.

受験開始時刻15分前から問題用紙と解答用紙が配られます.
筑波大学では受験開始前に受験番号や名前を書かせてもらえます.
ただ,この書く時間がとても短いので注意です.

受験開始のアナウンスの後はただひたすら解くのみです.
解答用紙は完全な白紙ではなく罫線が印刷されています.
罫線の幅がとても広く全体の行数が少ないので解答には十分注意しないといけません.


数学1

広義積分とn次導関数に関する証明問題でした.
広義積分は問題に従って解くだけなのですが,n次導関数の問題は始め全く手が出ませんでした.
結局最後までこれといった解答を出すことが出来なかったので,なんとかやってる風の解答を書き残して部分点狙いとしました.

厳しく採点されたとすると3〜4割,部分点がもらえたなら4〜5割といったところです.

数学2

ベクトルの線形結合とベクトル空間に関する問題でした.
ベクトルの線形結合はただやるだけ…のはずだったのですが,終了5分前に計算ミスをみつけて解答全消し.
急いで解答を書いたのでほとんど点数を取れていないと思います.
また,ベクトル空間の方も悲惨なことになっていて空欄のままです.
後から解き直すと単に式変形をすれば良かっただけでした.
やはり睡眠は大切です.
しかも緊張が加わっていたので多分頭はほとんど働いていなかったと思います.

おそらく0〜1割です.

プログラム1

ソートに関する問題でした.
問題がとても丁寧に書かれているので,ほぼ全員満点を取れたと思います.
多分10割取れてると思います.

プログラム2

バーコードの読み取りに関する問題でした.
これも問題がとても丁寧に書かれており,指示通りにプログラムを書いていくだけでした. 添字の指定が少し嫌らしい感じになっていたので,落とすならここだろうと思いながら解答を書きました.
しっかり確認したので10割取れてると思います.


数学が思うように解けず,これまであんなに勉強したのに…なんて思っていました.
また,プログラムが簡単になっていると感じたので数学でほぼ決まると思い,試験が終わった後は間違いなく不合格だと思いました.

帰りには気晴らしのために秋葉原でまたお店巡りをしました.
もうどうでもよくなっていたので帰る時間を予定より2時間くらい遅らせました.

5. 結果発表

合格していました.
第一志望の情報科学類ではなく,併願のメディア創成学類の合格ですがとにかく嬉しかったです.
自分の番号があることが信じられませんでした.
全身の力が抜けるという感覚を始めて味わいました.

数学の出来が悲惨なので,おそらく合格最低点を取っていると思います.
勝因はよく分かりません…(?)

6. 最後に

正直勉強量に対して出来が見合ってないので複雑な気持ちでありますが,とにかく合格できていて良かったです.

数学の難易度はここ数年で急に上がっている気がします….
また,筑波大学は多めに合格者が出ている印象だったのですが今年は受験者数が増えたにも関わらず,去年より合格者が少なくなっていました.
傾向が変わってきている感じがするので,5年前くらいの受験体験記はあまり役に立たなくなってしまうかもしれません.
来年以降受験する方は気をつけてください.

ここまで読んでいただきありがとうございました.